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CMLってどんな病気?

CMLの基礎知識

2000年代に入り、慢性骨髄性白血病(Chronic Myelogenous Leukemia;CML)の治療は、大きな進歩を遂げ、CMLへの向き合い方も大きく変化してきました。

ここでは、CMLの病態や治療、そして医療費の問題について述べたいと思います。

血球の誕生

はじめに、血液の中に含まれる成分(血球)がどのように作られるかを簡単にご説明します。

血球のふるさとは、骨の内部にある骨髄こつずいです。その中にある造血幹細胞ぞうけつかんさいぼうが、血球の元となるものです。

造血幹細胞は、細胞分裂や分化(別の細胞に変化すること)を繰り返しながら、白血球(体内に侵した細菌やウイルスなどの異物を排除する)、赤血球(酸素を運ぶ)、血小板(出血を止める)になります。

造血幹細胞が血球になるまで
造血幹細胞が血球になるまで

白血病の種類

白血病は、大きく「急性」と「慢性」、「骨髄性」と「リンパ性」に分類され、それぞれの組み合わせが病名になります。

急性白血病は、血液細胞ががん化した結果、うまく分化することができず、未熟な細胞で止まってしまう病気です。一方CMLは、がん化した白血病細胞が非常に増えますが、分化する能力は残っています。したがって、未熟な細胞だけではなく、成熟した白血球や血小板も増加します。

白血病の種類
分類 骨髄性 リンパ性
慢性 慢性骨髄性
白血病(CML)
慢性リンパ性
白血病(CLL)
急性 急性骨髄性
白血病(AML)
急性リンパ性
白血病(ALL)

CMLはなぜ起こる?

CMLの発症原因は、細胞の中にある染色体せんしょくたいの異常です。染色体は22対の常染色体じょうせんしょくたいと1対の性染色体せいせんしょくたいがあります。CMLはほとんどの場合で、「フィラデルフィア染色体」と呼ばれる、9番目の染色体と22番目の染色体が切断・入れ替わることが原因で起こります。フィラデルフィア染色体からは異常な遺伝子(BCR-ABL融合遺伝子)が形成され、ここからつくられるタンパク質が白血病細胞を増殖させてしまうことにより、CMLを発症させるのです。

CMLの発症原因:フィラデルフィア染色体(Ph:Philadelphia chromosome)
CMLの発症原因:フィラデルフィア染色体(Ph:Philadelphia chromosome)

イマチニブ(先発販売名:グリベック)が変えたCML治療

1990年代までのCML治療は、インターフェロンαや抗がん剤、同種造血幹細胞移植が選択肢でした。しかし、どの治療法もすべての患者に適応するものではなく、治療は困難を要しました。

2000年代に入ると、がん細胞のみを選択的に攻撃する“分子標的療法”という考え方が確立し、治療戦略は大きな変化を遂げることとなりました。CML治療においても、分子標的薬イマチニブ(販売名:グリベックなど)が登場、続いてニロチニブ(販売名:タシグナ)、ダサチニブ(販売名:スプリセル)なども登場し、CML治療が劇的に変わりました。

白血病細胞が増殖するには、BCR-ABL融合遺伝子から作られるタンパク質に、ATP(エネルギー)が結合する必要があります。分子標的薬は、ATPがタンパク質と結合することを邪魔することにより、白血病細胞を減少させるのです。

イマチニブはどうして効くの?
イマチニブはどうして効くの?

※イマチニブを使用する際、特に注意が必要な重大な副作用として、骨髄抑制、出血、消化管出血、胃前庭部毛細血管拡張症、消化管穿孔、腫瘍出血、肝機能障害、黄疸、肝不全、重篤な体液貯留、感染症、重篤な腎障害、間質性肺炎、肺線維症、重篤な皮膚症状、ショック、アナフィラキシー、心膜炎、脳浮腫、頭蓋内圧上昇、麻痺性イレウス、血栓症、塞栓症、横紋筋融解症、腫瘍崩壊症候群、肺高血圧症があります。ここに示した副作用以外にも、少しでも体調がおかしいと思う症状があらわれたら、すぐに主治医に連絡してください。

経済的な問題は、病院あるいは保険薬局へお問い合わせください

CMLの病期は、慢性期(病気の進行がゆっくり)、移行期(進行が徐々に速くなる)、急性転化期(進行が速い)と進行しますが、慢性期を長期間維持することが望まれます。分子標的薬により治療法は劇的に変化しましたが、治療効果を得るためには、お薬を継続して服用する必要があります。

治療期間が長くなるということは、医療費も高額になり、経済的負担も大きくなります。わが国には高額療養費制度など、さまざまな医療費助成制度が整っています。通院されている医療機関の医療従事者やソーシャルワーカーに相談するとよいでしょう。

薬剤費負担の軽減には、ジェネリック医薬品の使用も考えられます。ジェネリック医薬品は、先発医薬品と同等性を確認する試験が求められますが、製薬会社によっては信頼性を向上させることを目的に、試験管内や動物実験でも同等性を評価している製剤もあります。また、同じ成分のジェネリック医薬品でも、価格(薬価)が異なることもあります。品質やお薬の費用も含めて、疑問点があれば相談することをお勧めします。

監修:佐賀大学医学部 血液・呼吸器・腫瘍内科 教授 木村晋也 先生

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